季刊エスVol.83&SS(スモールエス)Vol.75の掲載告知と読了感想
- 削木
- 2023年11月30日
- 読了時間: 10分
皆様お久しぶりです、管理人の削木です。
9月の下旬にいきなり気温が下がってあれよあれよという間にハロウィンも終わり11月が終わり、クリスマスシーズンです。まだ温かい気候がぶり返してきて衣替えが大変だとは思いますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ここ最近私生活と展覧会の締め切りが立て込んでいたため、大分更新が遅くなってしまいました。申し訳ございません。
今回は季刊エスVol.83とSS(スモールエス)Vol.75の掲載告知と読了感想、二冊まとめてです!
二冊まとめてざっくりの読了感想なので短めです。自分のピックアップした記事多めなので相変わらず偏読っぽい印象ですがご了承願います。今回はイラストメイキングのコラムを中心に綴っていきたいかと。
そういえば去年も全く同じ時期に二冊まとめての感想記事だったような気がします。この時期、何故こうも忙しくなるのか…(もしかして:イラストコンテストの締め切り)
まずは季刊エスVol.83号について!

今号は米山舞先生が表紙を担当!花のように舞いながら徐々に変化を遂げていく少女の動きが目を引く一枚です。表紙には髪の毛やドレスに所々ホログラム加工が施してあり角度を変えるとキラキラ光る仕様です!印刷費の分値段が張っておりますが動きやホログラム加工の印刷物を考えている方には参考になるかもしれません。また、特別付録としてページをパラパラ漫画のようにめくるとアニメーションになるフリップブックもついております。
米山先生はアニメーターとして動画系のイラスト制作はもちろん、最近の活動ではアクリル印刷や光によるインタラクティブなどで平面アートの展示を様々な手段を用いてイラストの中の人物の「変化」を表現するということに力を入れてきました。インタビューのコラムでも、鳥の羽が生え替わる瞬間、蛇や虫の脱皮に美しさを感じるとのことで、過去の作品にも少女の髪に羽や脱皮の瞬間の質感を取り入れているのがうかがえました。最近のプロダクトアートの展開にも鑑賞することによって「観る」だけでなく「体験する」こともねらいとして入れていることを綴ってくれました。
個人的に「イラストで生きていこうと思ったとき、何かに頼っている以上はその限りを超えない。だから、本当に一作家として批判や評価を受ける用意がないと育たない」という言葉でした。確かに昨今ではX(旧Twitter)などのSNSが発展してから作画監督や脚本家やアニメ制作会社というグループなどが明確に見えるようになってきて、漫画や小説などの紙メディアが原作のアニメ化においても原作者である漫画家や小説家の立ち位置がより鮮明になってきました。イラストもSNSや広報の力が無ければ多くの人の目には届かない、アニメにおいても、シナリオや作画において大衆の目に届く以上は批判や偏見に晒されるリスクも背負わなければならない。その覚悟が今の作家には必要なのだというメッセージも含んでいるようにも感じられました。様々な光化学メディアを活かして展示活動を広げている米山先生だからこそでてきた言葉なのだとメディアに関わる身として身が引き締まる思いでした。
イラストのメイキングコーナーもスモールエスでお世話になっている作家陣様のメイキングが目白押し!桜雪るな先生の淡い色と透明感の溢れるコピックの色合いが髪やフリルの柔らかさを引き立てています!なつき先生の「キャラクターイラストのためのホルベイン透明水彩絵具」の描き下ろしイラストメイキングもマスキングインクと絵具の滲みを活かしたテクニックが、草原や木漏れ日のきらびやかな光を演出してくれています!なっそさんのデジタルイラストメイキングも、浴衣を始めとする短冊や風鈴などの小物の装飾的な模様の描き方や逆光の演出など、青を基調にまとめた清涼感溢れる空気感の演出方法も必見です!スクリーンや加算(発光)レイヤーの扱い方にも注目してみてください。
ここからは掲載告知です!
今回の「Star S」は夏に開催されたエス20周年記念のイラストコンテストの作品がそろい踏みです!最古参の作家様から新進気鋭の絵描き様の作家まで色鮮やかな作品が勢ぞろいです。色んな編集さんからのコメントも読んでみると作品にまつわる考察やポイントなども拝めるので、一読の価値アリです!
カラーイラストコーナー『Star S』に「猪鹿蝶」を、モノクロイラストコーナー『Space S』に「FLOUR ICECREM」のイラストを9分の1P掲載させて頂きました!ありがとうございます!!


編集部様からも「屏風絵風に並んだ花札モチーフが華やかで目に楽しい」とコメントを頂きました!感無量です…!「猪鹿蝶」は以前お話したアナログ×デジタル展にも出展した一枚であり今回の秋号に時期も合わせたのでとても嬉しく思います。


また、「FLOUR ICECREM」もアイスを上に乗っけた異形頭風の女の子を描くのとスクリーントーンのテクスチャをアイスのフレーバーに見立てるのが楽しかったので、見てもらえて光栄でした。モノクロのバストアップイラストは滅多に描かないので新しい挑戦でしたがお陰様で少し自分の作風の幅が広がったように感じました。
続きまして、SS(スモールエス)Vol.75について!

今回の表紙は上倉エク先生が担当!ぬいぐるみを抱えながら円らな瞳でこちらを見つめる少女がキュートな一枚です。周りを飛び交う蝶や背中に生えた翼、パフェのクリームなどの柔らかそうなモチーフや白を中心にまとめられた空間が軽やかさを強調させます。メイキングも見てみるとキャラクター衣装から7案ほど出されていてここからイラストに使うものを選んだそうです…!また、線画作りが終わってから彩色の前にも色相・彩度・明度を変えながら色合いを調節したそう。一枚絵にかける徹底的な下準備に脱帽しました。
インタビューコラムを読んでみると、学生の頃は「りぼん」や「なかよし」などの少女漫画や「ジャンプ」などの少年漫画の影響を受けて模写したり落書きしたりとお絵描きを楽しんでいて、中学高校に入ってからはネットの交流もできて、ペンタブを使ったお絵描きも増えていったそうです。しかし驚きはここからで「Gファンタジー」の月例賞に応募するために初漫画を描き上げたこともあり、結果として「奨励賞」を受賞したそうです!学校から帰宅してすぐ制作に取り掛かった約一カ月で描いた40P漫画らしくエネルギーの使い方が凄まじい……!実は友達が「月間少年ガンガン」の漫画賞で受賞してデビューしたという出来事がありそこから触発されて持ち込みを繰り返し「月間ガンガンONLINE」で漫画が掲載され、デビューに至ったのだそう。とんとん拍子に漫画家の道を進まれて大変な躍進だとは思いましたが、周囲の友達からの刺激が大きかったのかなと思いました。
その後は漫画を描き続けていたもののモチベーションが保てなくなってしまい悩んでいたそうですがpixivの方から声をかけてもらい、イラストのお仕事をもらったそうです。その頃からスモールエスの投稿も始まり、お絵描き合宿にも参加して交流を深めていったそうです。過去のイラストを見てみると女の子の脚線美に力を入れているそうで、自分自身の「これが好き」を知って貫くことが大事だと話していました。絵は自分の「好き」を伝えるツールの一つであり、アプローチが変わろうと根底にある「好き」は絶対ブレさせないこととそのための自分にルールを付して決めていることを綴っており、クリエイターとしての覚悟を感じられました。
上倉先生の可愛らしさと軽やかさの溢れるイラストの奥には、周囲の創作仲間からのインスピレーションと創作を通じての自己研鑽があったのだなと、なかなかに深いインタビューでした。
今号は来年に先駆けてということもあり、2024年のカレンダーも付録としてついています!イラストのラインナップは香琳先生、深翠りう先生、星猫しずか先生、ハゲヅラ先生、夏目レモン先生、しいろ先生、そして表紙に今号の上倉エク先生の7名です!豪華ラインナップであり画集としても楽しめるので是非お手に取ってみてください…!
そして今回のメイキングで紹介するのはカレンダーのイラストです!香琳先生のコピックメイキングはお正月シーズンに合わせた龍と和風魔女の躍動感あふれる一枚絵です。デジタルで作った色見本とアナログで作った試し塗りの見本、綿密な色分け計画をもとに塗っており、線画もキャラクターの色に合わせてマルチライナーで変えているそうです!深翠うり先生のレンブラント水彩による一枚も、花や熱帯魚の鮮やかな色が美しく、白抜きの泡が水中の煌めきを表わしています。薄く柔らかい線画も色の鮮やかさを引き立てています。夏目レモン先生の呉竹ZIGクリーンカラーリアルブラッシュも、ビビッドピンクと黒の毒々しい色合いがハロウィンにピッタリで、パーツに合わせてブラシの太さや形を使い分けているテクニックに注目です。
お絵描きナビゲーターはHau先生、うぱちぇ先生、お天気屋先生、村カルキ先生がアドバイスしてくれました!デジタルに関して、特にペン入れの悩みや色塗の工夫について指南してくださるのでデジタルビギナーさんも真似してみるとオススメかもです!
続いて掲載告知についてです。
今回はカラーイラストコーナー『Sky S』で「フリー」のコーナーに1枚、「テーマ:ハロウィン」のコーナーに1枚、そしてモノクロイラストコーナー『Sea S』にて「フリー」のコーナーに6分の1掲載、「テーマ:ハロウィン」と「S Say」のコーナーに各1枚ずつ、計5枚も載せて頂きました!編集部様、本当にありがとうございました!!




『Sky S』「フリー」のイラストは玄関前の百日紅とポストを擬人化したもので、ようやく形にできた一枚だったので、お気に入りの子たちがようやく世に出せて嬉しい限りです。「ハロウィン」の悪魔っ娘ちゃんはグリーティングカード風に収めたいなーと思って描いたのがきっかけでした。


『Sea S』「フリー」のチャイナトリオは余った花柄や着物柄、フルーツラインのスクリーントーンをなんとか消費できないかな~と思い立ったのがきっかけでした。思いのほか漢服や小物、背景に馴染んで使えたようで、コラージュのようにぺたぺた貼るのが楽しかったです。華やかな見た目になったのか、おかげ様で6分の1Pの大きさで掲載して頂きました。ありがとうございました。チャイナトリオは割と気に入ってるので、機会があれば今度はカラーで描いてみたいです。


「ハロウィン」の方も「フランケンシュタイン」「化学室」「お菓子」の3つの柱をテーマにスクリーントーンを駆使してコーヒーやらスイーツやら配置して描き込むのが楽しかったです。なんとなくだけとお菓子と化学って、親和性ありますよね。ビーカーとかガラス瓶とか…。

恐れ多くも「S Say」に一枚載せて頂きました!実はこの女の子、5月で展示した描き下ろし作品「LIME GREEN TEATIME」で描いた娘だったのですが、皆様お気づきでしょうか?X(旧Twitter)のヘッダーにもなっているので、お見かけしましたらよろしくお願いします。
そして今気が付いたことですが今回のSSの投稿枚数と掲載枚数が過去最多記録突破なので投稿を始めて以来の自己ベスト更新となりました…!エス編集部の皆様、いつもイラストを見てくださって、本当にありがとうございます。今まで投稿は続けてきたけれどこんなに多くのイラストを一号に付き何枚も描いたのは人生初です。少しづつ絵柄や画材の扱いが安定してきて、執筆ペースが速くなり自分のスタイルも確立できるようになったのかなとすこしだけ成長の手ごたえを感じました。慢心せずに、これからも精進していきます。
そして来号の季刊エス、SS(スモールエス)の投稿について!季刊エスも執筆が終わりSSの方も無事脱稿できました。次回のテーマが季刊エスもスモールエスもそれぞれ「艶やかな悪魔」「ダークファンタジー」なのでダークなイラストが沢山拝めるのではないかと!自分もダークファンタジー系のイラスト作品は観るのも描くのも好きなので今から心待ちにしております。


さて、次回のブログの更新ですが次はクリスマス展の更新になるかと思われます。ギャラリー作品でも綴りましたが、クリスマス展はいつもお世話になっている画廊、鎌倉MONAさんで開催されます!クリスマスにちなんだイラストが沢山展示されるグループ展です。開催日時や案内などは次のブログで更新しようかと。
年末に向けてスケジュールがタイトになっていき、更新も曖昧になっていっていますが、それでも好きなものを貫いて、自分の制作を続けていけたらなと思います。
今年も残すところあと1カ月!寒さにお気をつけて皆様ご自愛くださいませ!
2022.11.30 削木
Comments