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スモールエスVol.76読了感想&掲載告知

  • 執筆者の写真: 削木
    削木
  • 2024年2月15日
  • 読了時間: 12分

年末年始どころか二月半ばになり、もうバレンタインデーを過ぎてしまいましたが改めて。




新年、明けましておめでとうございます。管理人の削木です。




新年早々、能登半島地震に見舞われてしまいしたが皆様いかがお過ごしでしょうか。管理人は私生活の傍ら募金してますが、創作も地道に続けております。

今年も季刊エス、スモールエスの投稿、愛読を続けていきますので、何卒よろしくお願いします。







さて、早速ですがSS(スモールエス)Vol.76の掲載告知と読了感想です!

いつも通り自分のピックアップした記事多めなので相変わらず偏読っぽい印象ですがご了承願います。未読了の方はネタバレご注意願います!



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今回表紙を担当してくださったのは、常連投稿者でもあり、SS学園でもキャラクターを執筆して下さっているイラストレーターの南野葵先生!ビビッドピンクの髪色がパッと目を引く可愛らしい女の子のウインクした仕草に目を惹かれる表紙絵が目印です!


甘いピンクの色合いに加えて三つ編みやハートモチーフのアクセサリーというガーリーなモチーフに加え、革ベルトやギンガムチェックをあしらい硬さの入った要素で服装をまとめているため、甘すぎない絶妙なバランスの取れたデザインになっております。


実は南野葵先生、今年1月20日に渋谷のギャラリーエクリで個展『ほ~り~ほっく』を開かれたそうで、今号のスモールエスにも南野葵先生の描き下ろしミニイラスト集『petiranto』が付録についております!南野先生の柔らかくカラフルなコピックメイキングのイラスト一枚一枚にキャラクターたちがお目見えしておりますので、ファンは必見です…!


書店で購読された方はお気づきかもしれませんが、前号では1/20となっておりましたがそれは南野葵先生の個展で選考販売となり、全国の書店さんの発売は1/22に変更され今号は2日間遅れての購入になりました。X(旧Twitter)でもそのようなお知らせが流れておりましたね…!もしかすると今後ギャラリーの展覧会やプロジェクトとの提携の関係で発売日が変わる可能性大なので、今後もHPやSNSを見て気をつけていきたいところです。私も1/20発売だと思い込んで無駄に本屋さんをあちこちハシゴした2日間を過ごしたので、皆さんもお気をつけくださいませ…!

話がそれてしまいましたが、南野先生のコピックメイキングについて!今回は南野先生は画学紙に線画を印刷しコピックで着彩してるのだそうです!画学紙はインクが滲みやすいことでも定評があるので、柔らかい印象のイラストにはもってこいです。キャラの髪や瞳の塗りはもちろんですが、チェックの模様にカラー芯のシャーペンで模様を入れたり、アルミの風船のシワに反射光を加えたりする質感表現のテクニックにも注目です。私が面白いと思ったのはコピックのインクを垂らして指の腹で広げ、背景のベタ塗りに応用していたこと!こんなに色ムラのない背景がインクを広げることで仕上がるとは…!南野先生の画材の特性に対する知見と技術に驚かされました。



南野先生のインタビュー記事も読んでみるとお絵かきの原点もそこかしこに見えてきます。おしゃれのきっかけがお母様のつけてるピアスだったり初めて描いたオリキャラがギャル系だったり、小さい頃にハマったキャラが長髪男子だったり髪を染めることにときめきを感じるなど、南野先生のキャラクターのビジュアルにプリキュアのようなカラフルで煌びやかな装いが見られるエッセンスが実体験から感じられました。人物を可愛く描くために人体のデッサンを重ねたり、漫画を描くときも、最近は自分とキャラの気持ちを擦り合わせて考えるなど、とにかく自分と向き合って悩みながら作品を制作するというスタンスを現在進行形で続けられているそうです。きらめき溢れる可愛いイラストは、先生の沢山の好きの気持ちと好きを表現するための先生自身の絵描きとしての研鑽が詰まっているのだと、納得させられました。





さて、驚くべきアナログ技法は南野葵先生の作品にとどまりません!ほかのイラストレーターの先生方のメイキングも目を見張るものがあります!



waki先生のレンブラント透明水彩絵具

で描かれた光を操る青い魔女っ娘は色彩による明暗表現が美しい一枚です。デジタルの色見本作りで光源や影を綿密に設定し、マスキングと下塗りの丁寧な仕事によって色同士が滲むのを防いでいるため、メリハリの効いた薄暗さと優しい光の明るさが画面に生み出されております。明るいところは黄色系、暗いところは青系でまとめて色を置くことによってどこから光が来ているのか演出を高めています。レンブラント透明水彩は発色が鮮やかなため、暗い色を置いても画面全体の雰囲気が沈むことなく空間表現できるのがメリットといえるでしょう。



potato先生は、呉竹ZIGクリーンカラーリアルブラッシュを使って青い海や伸びる赤い腕の不気味さ、亡霊の美しさを演出する一枚を執筆してくれました。水筆で丁寧ににじませ色を伸ばすテクニック、水彩のウェットオンウェットのテクニックを紹介してくれました。potato先生のコメントによると、単色でもグラデーションが作りやすいのがリアルブラッシュの強みであり、水でにじませた際に彩度や明度ともにメリハリの効いたグラデーションが作れるのだそうです。絵の雰囲気上モチーフごとに暗いグラデーション同士がぶつかり合っているため、パーツ同士の際(きわ)を見せるために白のユニボールシグノでセパレートラインを引き画面をピシっと引き締める仕上げのテクニックもお披露目してくれました。



いつも様々なアナログ画材のメイキングを見せてきれる夏目レモン先生は、今回ステッドラーピグメントブラッシュペンを活用してくれましたが、今回は絵本風のタッチが特徴的で、ヘンゼルとグレーテルを元ネタにしたメルヘンチックでどこか仄暗い要素を感じさせる一枚絵を制作してくれました。ステッドラーピグメントブラッシュペンはどんな素材にも描けるのが強みであり、上から重ねても色がにじまない、裏移りしない、など淡い色でありながらインクの強度が強いため、迷うことなく色を乗せることができるのがメリットと夏目レモン先生はコメントしておりました。そのため今回はインクを滲ませて作るグラデーションではなく、アクリル絵の具のように平筆のタッチを活かしたり多角形の影を重ねてデザイン的なタッチを残す、優しい色合いと耐水性の効果が絵本のようなテクスチャーでイラストを執筆してくれました。普段お目にかかる夏目レモン先生のイラストはハイライトが強く艶やかなキャラクターの印象が強かったため今回の一枚は意外な先生の持ち味を拝ませて頂いたように感じました。気になった方は是非、必見です。




しっかりした質の高いアナログ画材の技法も見事ですが、七神マナ先生の100円ショップお絵描きチャレンジというリーズナブルな画材で仕上げたイラストもこれまでのメイキングに引けをとらないほどのクオリティの高さを感じました!100均の画材の活用方法脱帽です。


七神先生が使用したのは、Daisoのイラストマーカー、ケント紙(はがきサイズ)、A5トレースボード、Seriaのイラスト用ミリペン、Can★Doの20色ツイン色鉛筆パステル&スモーキー。みんなお手軽な価格で揃い手軽に持ち歩ける画材でなのですが、七神先生のメイキングを見てみると手のひらサイズの画面でトレースされ、ミリペンで主線が引かれ、イラストマーカーの柔らかい色彩で色が入り、色鉛筆で服のチェックの質感が仕上げに加わり、あっという間に可愛らしい女の子の一枚絵が完成したのです!個々の画材のメリットを生かしながら楽しくお絵描きできるという作例を出してくれた七神先生のメイキングは、高価な画材を使わずとも楽しめるとお絵描きの敷居を下げてくれるような、勇気づけるメッセージが込められているように感じられました。





アナログだけでなくデジタルツールのコラムも見逃せません。今号からクリスタ×SSのコラボによるデジタルイラストメイキングナビゲートコーナーが始まります!ナビゲーターはしいろ先生と明日見ゆうら先生です。お二方のクリスタの作業環境を見ながらどのようにデジタルの作業を快適に進めているのか、その一工夫を解説してくれます。ワークスペースのカスタムによって作業画面を見やすくしたり、パーツごとのレイヤー分けの利点の紹介など、デジタル作業が億劫に感じている方は必読です。



メイキングやお絵描きナビゲーションはもちろんですが、フレンド☆マッチング企画も面白さ満点です!今回は香琳先生と真田しろ先生の対談!このお二方は人外の少年を魅力的に描かれるという共通点がありますが作風は双方異なっており、お二人の対談からそのエッセンスが垣間見えました。


真田しろ先生は『円環のラパン』の作者であり、少年の愛らしさや快活な仕草をストーリーの中に描き出しております。一時期コロナ禍での規制を創作の表現の中に感じていたそうですが、それに関係なく「性癖でタコ殴りしたい」性分だそうで、「好きなものを描いた方が伸びる」という自分の働いてる画塾の塾長の言葉を大切にしているそうです。

香琳先生は今の少年キャラの影響を受けたのはジャンプの漫画「家庭教師ヒットマンリボーン」であり好きなキャラクターは六道骸だったそうです。オンラインゲームの「Fate Grand Order」では源頼光が好きだそうで、ポリシーとしては推しを幸せにしたいタイプで、イラストとしては全身のアングルや和装が多く肉体美やフォルムを描写する趣向が見てとれました。真田しろ先生は香琳先生とはスタンスが対照的で、好きなキャラクターには幸せよりも抗えない運命や試練を課したいタイプだそうで、漫画のストーリー作りにも活かされています。男の子にフリルなどのギャップが好きで、人外にもそのような相反要素の組み合わせに惹かれるのだそうです。


真田しろ先生と香琳先生の対談をまとめると、真田しろ先生は人外少年の「要素の組み合わせ」に、香琳先生は人外少年の「フォルムの美しさ」に、それぞれ惹かれて表現しているのかなという印象がありました。こうして対談することで、描くテーマやモチーフが同じでも描かれる作家さんの琴線に触れるものは何か、好きなものを描くときに何に重きを置いているかの違いが発見できるのも、このコラムの面白さなのかなと思いました。次回も楽しみです。




がらくたおつむ先生の「人体講座」コーナーは、今回は「顔」の描き方について紹介してくださいました!正面はもちろん、斜めや横顔、目や口元など様々な顔のパーツについての描き方の注意点やポイントを丁寧に解説しています。子供から大人まで年代年代別の描き方やデッサンも載っているのでキャラクターの頭部のデッサンに迷っている方は是非読んでみてください!私も個人的の斜めのアオリ構図のデッサン(特に顎から首にかけて)が苦手なのでもう一度初心に返って見直そうかと…。




SS学園は今回別のキャラクターの日常を切り取れられております!すぴか先生の「白石桃乃」の巻では4コマでほんわかした彼女の日常の場面が拝めます。個人的にはくりゅう先生の一枚絵、こけし先生のらんこちゃん達のショートコミックも必見です!投稿者様に卯夜新しい顔ぶれや美麗イラストも沢山掲載されおりますので、是非学園生活を覗いてみてください。





続いて掲載告知について!



今号はカラーイラストコーナー「SkyS」で辰年のカラーイラストを、モノクロイラストコーナー「Sea S テーマ」でダークファンタジーのモノクロイラストを掲載させて頂きました!ありがとうございます!!


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辰年のイラストは中華行灯の模様にマスキングテープをベタベタ貼って仕上げました。切り貼りに手間がかかりましたが、楽しい作業でした。立体に合わせてテープの向きを調整するのに頭を悩ませた記憶があります。青空や竜のターコイズブルーなどが爽やかな色だったので赤系の花柄やチェックなどで色数を絞ったら画面が華やかになりました。機会があればこの手法を活かしてみたいです。心残りは竜の尻尾の遠近法が狂って行灯が巨大になりトリックアートみたいになってしまいましたがこれはこれで絵的なバランスということでスルーお願いします(次回は気を付けます!)

 

 


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モノクロのダークファンタジーは魔獣を討伐隊の少年と翼のあるアンドロイドの少女が倒しにいく的なシーンです。魔獣をデザインするにあたって頭をオーク、身体をドラゴンにしましたが個人的に禍々しいデザインで気に入ってます。もう少し建物とか倒壊させても良かったかもしれません。討伐隊の少年の武器であるガトリング銃はクリスタの3D素材をトレスして描きましたが結構パースが難しかったです。細部もカスタマイズしましたがもっと重くしても良かったかもです。ゴーグルとかツーブロックとかビジュアル的に彼は私のお気に入りなのでまたどこかで描きたいです。アンドロイドの少女は…近いうちにまた描きます!



また、モノクロコーナーの「Sea S Story」でモノクロイラストを掲載させて頂きました。ありがとうございました!初の投稿コーナーだったので緊張しいでしたが、無事に彼らを届けることができて感無量でございます。



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実は彼ら、去年の「アナログデジタル展2024」の夏の花シリーズ、「向日葵」「朝顔」「凌霄花」のイラストで描いた3人だったりします。今回掲載されたので、名前をお披露目!左から順にアレス、バレット、カメリアです。名前の由来はそれぞれ戦の神「アレス」、「弾丸」を英訳した「バレット」、「椿」を英訳した「カメリア」にちなんでいます。3人の頭文字からABCトリオって呼ぶことにしてます。Xに投稿したイラストより。


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また、今回はスモールエスと提携で主催されたイラストコンテスト、『COMIC UP✕S MAGAZINE』コーナーもあり、「干支曼荼羅」が入選に選ばれました!!恐縮です……!ありがとうございます!!これからも精進します!!



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COMICUP✕S MAGAZINE』は中国最大規模の同人誌即売会「COMIC UP」と「SS(季刊エス、スモールエス)」による合同イラストコンテストであり、SSのイラストレーターや投稿者の方々はもちろん、中国や海外のイラストレーターも腕を振るって参加した大規模のイラストコンテストです。私も数カ月前に執筆して挑戦してみましたが、こうして誌面に掲載させてもらえたこと、世界中の方にイラストを見てもらえて感無量です。更にフォロワー様の作品と同じページに掲載して頂けたことが本当に嬉しくて…!また開催されたら参加しようかなと考えております。




「干支曼荼羅」は見た目の通り十二支にちなんでおりますが陰陽五行説も取り入れております。掲載号が1月発売だったので、それに向けてテーマを決めた記憶がありました。世界装飾図案辞典を見ながら太陽や波のうねりなどを模写してみましたが、キャラクターの粗密やラインの太さとのバランスが難しかったです。でもお陰様でいい勉強になりました。またアジア系のイラストを描くときにこの経験を活かしてみようかと思います。




さて!次回のテーマはなんと「お気に入りの衣装」!自分の創作キャラに好きな服装を着せるのがテーマだそうで、コスチューム愛に溢れた一枚で誌面が埋まりそうです。私も創作キャラに着せたい衣装が沢山なので、現在執筆の真っただ中です。投稿者の皆様の描かれる衣装も楽しみなので、ワクワクしております。




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私も進捗を少しだけ。前回男子ばかり描いていたので今回はその反動で女の子ばかりになりそうです。







それでは、また次回!



2023.02.15 削木

 
 
 

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©2020.06.01 削木

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