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季刊エスVol.85とSS(スモールエス)Vol.77と感想+「夢見る少女展Vol.3」告知

  • 執筆者の写真: 削木
    削木
  • 2024年5月1日
  • 読了時間: 12分

皆様お久しぶりです、管理人の削木です。






X(旧Twitter)では報告させて頂きましたが、ここ最近左胸の乳腺腫瘍の治療と手術、入院のためお休みしておりました。先週退院しようやく回復したので久しぶりにサイトの方に顔を出すことができました。GW真っただ中、休暇を満喫していらっしゃる方も社会のために勤務されている方も、お元気そうならば何よりです。



以前お話しておりましたRecto Verso Galleryさんの春の展覧会もひと段落着きましたので、こちらでようやく掲載告知と感想ブログです。



大分期間が空いてしまったため、今回は季刊エスVol.85とSS(スモールエス)Vol.77の掲載告知と読了感想、二冊まとめてです!

二冊まとめてざっくりの読了感想なので長めかもしれませんが短めです。自分のピックアップした記事多めなので相変わらず偏読っぽい印象ですがご了承願います。







まずは季刊エスVol.85について!







今号は「ゆるゆり」のなもり先生が担当!花柄をあしらった春らしい装いと円らな瞳がキュートな『大室家』の三姉妹のイラストが目印です。インタビューによると、華やかな印象にしたかったので、コラボ衣装にしたのだそう。三姉妹の関係性やエピソード別に沿った質問への回答など、読み応えのあるコラムが沢山綴られています。表紙イラストのメイキングも、柔らかな光の演出やシンプルな色塗りと影の描写方法が綿密に紹介されていますのでファンは必見です。




その他、『スキップとローファー』の高松美咲先生や『ぼっち・ざ・ろっく』のはまじあき先生、『正反対な君と僕』の阿賀沢紅茶先生など、今話題になっている漫画の作者さんのインタビューも盛り沢山で読んでいて興味深い記事が沢山ありました!


高松先生の「スキップとローファー」の誕生のきっかけが司馬遼太郎の『関ケ原』の石田三成と島左近の関係性だったり、そこから来る「人間模様」が物語のエッセンスとなっているなど、文学作品からキャラやストーリー造形のインスピレーションを頂いていたことに驚きました。少女漫画のようにキャラクターの心情が繊細に描写されていながらも青年誌でカラッと爽やかな印象になっているのも、高松先生のジャンルにこだわらない制作のスタンスが活きているのだなと感じられました。



『ぼっち・ざ・ろっく』のはまじあき先生のインタビューもそれぞれのキャラクターに対する思い入れなどが語られており、最近流行している音楽についてアンテナを張ったり下北沢のライブハウスにも足を運んで取材したりとバンド漫画を描く上での勤勉さに舌を巻きました。はまじあき先生曰く知識がなかなか無い中で描くのは大変だったとのことですが、0から勉強して漫画に落とし込んだからこそストーリーやキャラのアクション、ライブのシーンや果てまでは日常パートにもリアルな緊張感が生まれたのだと思います。意識する身近な人は実の妹さんだそうで、妹さんもイラストを沢山描いており刺激を受けることがあったのだそうです。



阿賀沢紅茶先生の『正反対な君と僕』にも阿賀沢先生の学生時代の交友関係で感じたことなどが落とし込まれており、谷とみゆのキャラクターのコントラストや他のキャラクターの多面的な表情はそこからにじみ出ているのだと思われます。90年代を思わせるようなレトロポップでコミカルな字体のオノマトペも小学生の頃に読んでいた「ドラえもん」などの漫画の影響が強かったのだそう。阿賀沢先生はその絵柄が好きで漫画の中にも表現として積極的に取り入れられており、だからこそ登場人物の複雑でリアルな内面性のドラマの描写に読者に共感性を持てるようにしてるのかもしれません。ある種、絵柄や持ち味ってストーリーに入るための窓口なのかなとも感じられました。




イラストのメイキングコーナーも必見!白玉派さんのコピックメイキングは暑い夏の日差しの当たる地面や入道雲の白さを残した、いわゆる「白抜き」によるコントラストを活かした光の演出が見どころ!マルチニブの穂先を軽い筆圧で重ね塗ることで、明度をコントロールするのだそうです。

デジタルイラストメイキングは17回ペンタブレットアートコンテストでグランプリを受賞したサイユさんです!インタビューも取り上げられておりヨーロッパや日本の中世時代の美術品や装飾、衣装に惹かれており、柔らかい質感や透明感のある色合いが好きでイラストに取り入れているのだそう。メイキングを見ても使用ブラシを見ても柔らかめの質感のものを使用しており、女性の肌の白さや衣服の布の柔らかさ、金属の滑らかな光沢からも中世ヨーロッパの名画にあるようなグラデーションの美しさを活かした光を感じられました。好きなものの魅力を引き立てるための技術を絵作りに取り入れているのだとメイキングからもインタビューからも感じられました。





ここからは掲載告知です!

今回はカラーイラストコーナー「Star S」ではRecto Verso Galleryさんの4月の展覧会にも出展した『春色プレリュード』のアナログイラストを載せて頂きました!ありがとうございました!






コメントにて「もちもちのメジロやカエルたちに触りたくなりそう」と頂きました!ありがとうございます…!背景の草花はもちろんですが周りの小さなクリーチャーたちの表情や動きを描くのも好きなので見てもらえるととても嬉しいです。創作者さんが気合を入れて描写細かいところまでしっかり見てコメントしてくださっているエス審査員様の審美眼に感服するばかりです。




そしてモノクロイラストコーナー「Space S」ではバレンタインとホワイトデーをモチーフにした『Black&White Decoration』のアナログモノクロイラストをなんとトップページに4分の1P掲載させて頂きました!!ありがとうございました…!!今までエス、スモールエスに投稿してきた中でトップページ掲載は初めてだったので快挙です。これからも精進させて頂きます!





このイラストは白黒や天使と悪魔で対になるようにデコレーションされたバレンタインチョコとホワイトデースイーツをモチーフに描いたものです。ゴシックなモチーフを考えるのも楽しかったですが、一番凝ったのがスクリーントーンのコラージュでした。今はもう廃盤になってしまっているゴスロリモチーフなフリル・レースのあしらわれた柄トーンを大きさと濃度を考えながら配置したのですが、バランスよく貼るのが大変でした。白黒とハーフトーンが画面に偏らないよう計算したりトーンが剝がれないよう工程手順を守ったりとにかく忍耐の積み重ねだったのを覚えております。その分仕上がりが汚れず綺麗になったことと紙に厚みが加わったので、その努力も編集さんは見てくださったのかなと考えております。この度は選んで頂き感謝感激です。これからも精進させて頂きます。





続きまして、SS(スモールエス)Vol.77について!






今回の表紙は村カルキ先生が担当!


桜のような春らしいピンクの背景をバックにビビッドなスポーツウェアのオリキャラ「ユーリ」くんがキャリーケースの上でポーズを決めた表紙が目印!

村カルキ先生はSNSやSS誌面でずっと憧れていた絵師様だったので今回表紙絵に抜擢されてテンションが上がりました。村先生も以前SSの表紙を描いてみたいとインタビューでお答えしていたので…アンケートに毎号村先生を指名した甲斐がありました。村先生、おめでとうございます。



インタビューコラムも読みごたえがあり、村カルキ先生の学生時代や社会人の経験がイラストレーターとして創作にどのような影響を及ぼしているのか垣間見えた瞬間が所々にありました。村カルキ先生の描かれる男子キャラに骨や筋肉のようなピタッとしたシルエットの印象が強いのは、村先生自身昔から細身や人体の骨の造形にフェチズムを感じるからとのこと。オリキャラの銀髪の少年「BLACK」と漆黒の骸骨のパートナー「BLOOD」のビジュアルからも愛を感じられます。学生時代は漫画部に入って漫画を描いたり同人イベント「おでかけライブ」でグッズを作ったり充実した創作活動を満喫していたそうです。絵を描く仕事に就くことは視野に入れてたけれど、イラストレーターがメジャーな仕事ではなかったため確実に絵を仕事にできるゲーム会社に就職すべく、アニメーション専門学校に入学したのだそう。その後ゲーム会社に就職するも徹夜続きなど仕事に厳しさを感じ、そんな中「SS」に出会って息抜きに投稿を続けていたら声をかけてもらった…という経緯があったそうです。その後は会社員からフリーランスに転身し、イラストコンテストで賞をもらったところ別企業から声がかかって仕事をもらえるようになったそうです。仕事で絵を描いてる時はどうしても商業向けの絵を考えなければならないため苦しくなることもある、だからこそ好きな落書きは遠慮なくしているそうで、お絵描きへ熱量とバイタリティの凄まじさに圧倒!自分のできることと好きなことを、絵を描くという活動に於いて性的に分けられることは中々できることではない分、村先生へのイラストレーターとhしての尊敬の念がより高まりました。




メイキングコーナーは今回も魅力的な画材が目白押し!メイキングで紹介するのは相楽ちと先生のコピック、香琳先生のピグメントブラッシュペン、夏目レモン先生のアクリリックアムステルダムカラーです。



相楽ちとさんは「COPIC AWARD2023」にて「SNS賞」を受賞した経歴もあり、そのコピックの色の塗りはまるでメイクをするように繊細かつ丁寧で、透明感に溢れています。うるっとした瞳なツヤのある唇、パールの煌めきなどアンティーク人形のような美しさを感じさせます。RVやRE系統だけでなく、再度の低いV系の色の重ね塗りやT系の灰色やE系の茶色を薄く加えることで色に深みを与えていました。



香琳先生のステッドラーピグメントブラッシュペンは幅広い中間色や水筆を使って広げた原色のグラデーションがカラフルにイラストを仕上げてくれています!可愛らしい猫又メイド少女の快活さや可愛らしさを表現するのに、重ね塗りをしても鮮やかな色合いを出してくれるブラッシュペンは相性抜群なのでしょう。



夏目レモン先生のアムステルダムアクリリックカラーのメイキングも久しぶりに拝見しましたが、透明水彩のような滲みを活かした柔らかな質感と不透明水彩のマットな質感、双方が組み合わさり、鮮やかさとデザイン性が加わってレモン先生のイラストがアップデートされた感じがしました!#105のチタニウムホワイトを下地に敷くことで上に重ねた色が鮮やかに透けて見えるグリザイユ技法のようなアクリリックカラーの特性が、おしゃれに着飾った女の子たちを煌びやかに見せてます。



SS学園コーナーも漫画やイラストコーナーが見どころ満載です!今回個人的にお気に入りなのは鴉堂さん執筆のルクリカ・エルメティアの一日を収めたアルバム風の1ページです。付箋に名前が書かれていたりデコレーションシールが貼られていたり、学園の1ページが華やかに彩られていて宝物のような眩しさを感じました。





続いて掲載告知についてです。今回も沢山掲載させて頂きました…!



今号は春号ということで色とりどりの花や柔らかい雰囲気のイラストが全体的に多かった気がします。テーマ「お気に入りの衣装」のコーナーでもフェミニンな雰囲気も相まって華やかな衣装を身にまとったキャラクターたちのイラストが沢山見られました。



今回カラーイラスト投稿コーナーでは「Sky S 」ではデジタルカラーイラスト『貴方のお気に入り』を、テーマ「お気に入りの衣装」のコーナーではデジタルカラーイラスト『Seasons!』を6分の1掲載させて頂きました!ありがとうございました!





『貴方のお気に入り』は今度大阪の画廊「ギャラリーIYN」さんでGW中に開廊される「夢見る少女Vol.3」に展示予定の1枚です。「夢」「少女」がテーマなので人間に気に入られたいアンドロイドの少女の願望、といった感じで不気味さと怪しげなイメージで執筆しました。






『Seasons!』はお気に入りの四季四人娘たちに制服を着せるのが楽しかったです。緊張気味で嬉しさも浮き立つ春、半袖が爽やかでエネルギッシュな夏、学校生活に慣れてきた秋、マフラーや手袋などの防寒具がキュートな冬、学校生活での気持ちと照らし合わせてデザインした思い入れがあります。背景の果物や花といった植物も配置が楽しかったです。何気にスモールエスにデジタル投稿してここまで大きく載せてもらったのは初めてなような気がします。これからも己の感性を大事に、執筆を続けていきたいです。




続いてモノクロイラスト「Sea S」!フリースタイル「Sea S Sense」のコーナーではアナログイラスト『桜色ダイブ』を4分の1P掲載、「Sea S Select(お気に入りの衣装)」ではアナログイラスト『LITTLE DINER』掲載させて頂きました!ありがとうございました!!





『桜色ダイブ』は桜の花と遠景の描き込みに気合を入れました!春の温かい日差しを表現するために黙々とグラデーショントーンを削った記憶があります。実は遠景の住宅街は私の実家の近所から見える景色がモデルでしたが、木々や並ぶ一軒家が良いロケーションでした。機会があったら帰省したときに拝みたいです。






『LITTLE DINER』は以前からダイナーのアメリカンレトロな衣装を描きたい願望があったので一枚に描きたいものをギュッと詰めました。大振りでカラフルなジャンクフードやミニスカートの可愛い制服、アメリカの国旗を彷彿とさせるストライプや星、チェックボックスのような格子柄は好きなモチーフだったので、今度また描く機会があればフルカラーで挑戦してみたいです。




息つく間もなく次の投稿の締め切りが迫っているため、原稿の進捗をちょこっと。現在他雑誌の投稿も目論見中です!締め切りが違うのでスケジュール管理して投函せねば…!







さて、次回のブログの更新ですが次は「夢見る少女展Vol.3」のレポートになるかと。今年の4/26よりギャラリーIYNさんんで開廊され始め、現在展示中です!

詳しい展覧会の告知はこちらです!↓



今回は初めての大阪のギャラリーさんでの出展のため、どんな風に飾られているのか気になるところでございます。初出展の会場のため正直緊張しておりますが、GWを利用して大阪観光しつつ見に行こうかと思います。私は関東在住のため、関西では今までなかなかお目にかかれない作家さんの絵が沢山拝めると思うと楽しみです!


今回出展したのは先ほどスモールエスにも投稿しました『貴方のお気に入り』の他、描き下ろした『ユニコーンと一緒』『おやすみひつじ』の計3点です。GALLERYのコーナーでもイラストを見ることができますのでよろしくお願いします。

せっかくなので額装した作品をここで公開!





どんな風に飾られてるかは後日レポートにて!



また、機会がありましたら、Recto Verso Galleryさんの展示についてもお話できたらいいなと思っております。




気温の変化が激しかったり新しい生活に慣れなかったりGWの予定などで大変だとは思いますが、皆様体調にお気をつけてご自愛くださいませ。



では、また!



2024.05.01 削木




追伸 先日当サイトのGALLERYの項目を少し整理しました!ここ最近作品数が増えてきたので年代別に整理整頓した分、見やすくなってるとは思いますが……何卒宜しくお願い致します。


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©2020.06.01 削木

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